伊賀坏谷本貴
¥22,000
谷本貴は、伊賀で三代続く陶芸一家の三代目である。祖父・谷本光生は、戦後衰退の途にあった伊賀の茶陶復興に尽力した陶芸家として知られる。絵画や彫刻など幅広い芸術から表現を取り入れ、古典に新たな息吹を与えることを作陶のよりどころとした。その姿勢は、父・谷本景を経て、谷本貴にも受け継がれている。 光生は、洋画からやきものへの転回の後、陶磁器デザインや窯業研究を切り拓いた日根野作三、小森忍らに学び、景は、日根野に師事する以前はウィリアム・ヘイターのアトリエ17で銅版画を学んだ。谷本自身も日根野に師事した森正のもとで研鑽を積んだ後、イタリアへ留学している。 谷本の造形は常に新しく、それらはやきものでありオブジェでもある。凡そやきものにおける写しとは原型を喚起させるものだが、例えば胴締花入や井戸茶碗といった古典の器形においても谷本の場合には古典の面影を想起させるより先に、直接的で、生々しい存在感を感じさせる。やきものとは単に所与のものではなく自身によって選び直された表現の媒体であり、それは谷本の作品を特徴づける造形として現れている。