この度、とても急ですが大森礼二さんの個展を開催いたします。何故なら新型の志野が生まれたからです。その名も、むす苔志野・櫻楓志野・霧の香志野です。
「むす苔志野」は主に備前の土によるもので目新しい灰緑色の肌に気を引かれますが、最大の魅力は志野としての古格を纏っていることとその色が志野というやきものに驚くほど馴染んでいることです。400年前からありました!といわれても不思議ではない
古典の延長線ど真ん中の新型であります。大森さんの長い作陶生活の中で生まれたものであることと、長い歴史のある備前やその土に敬意を払っての命名です。
「櫻楓志野」。こちらは化粧土や鉄絵を施したうえに長石釉と銅緑釉を掛け分けることで表現されています。長石釉の下にみえる銅緑釉は赤を発し、粉引のような火間もみられたりと鮮やかな作ですがしっかりと重みもあります。名前はその姿から。読みは「おうふう」。「雲錦」でないのがミソ。
「霧の香志野」も化粧土と鉄絵のうえに二種の長石釉を掛け分けたもので、大森さん特有の釉調と掛け分による濃淡や鉄の滲みが見所。また、それらが層を成すことで奥行を感じさせます。「霧の香(きりのか)」は香を焚いているような絶え間のない霧の意。
大森さんというと脳内桃山一色の人という印象を持つ方もいらっしゃると思いますが、原料や焼き方、意匠まで日々様々な形を模索されています。それにより生まれたのが今回の新型であり、新しい刺激により古典に対する新しい視点が生まれ作品全体が深められ現代のやきものが形成されていく。そう思います。
更に磨きのかかった志野や鼠志野も含め今回は茶碗・旅茶碗・ぐい呑に絞り40~50点程を展覧いたします。是非お越しください。